すぐにしんどさや辛さを「解決」してくれるものはないけれど、しんどい時間を「共に過ごしてくれるもの」「ちょっとだけ忘れさせてくれるもの」はあって、そういうものに随分と救われてきた。
病気になって間もない頃は、「これで治るんじゃないか」「今度こそ…!」とたくさんの治療を試し、本を読み、ネットの情報に触れていたけれど、8年経った今は、この病気は「劇的」「即効性」そういう治療はなく、地道に、焦らず、行ったり来たりしながら、なんとなく、たまに、ちょっと、じんわり良くなるものだと分かってきた。
言い換えると「耐える」「やり過ごす」時間が多い。すぐに効くものはないから、つらい瞬間がたくさんあるし、しんどさと共にいないといけない。どうしてもしんどさ、苦しさに意識が集中してしまうから、そこから意識を逸らすために、たくさんのものに助けられてきた。いろいろ紹介したいものはあるけれど、今日は音楽と映画のことを書こうと思う。
音楽。
言葉のない、ピアノの音だけで紡がれている音楽はキュッときつくなった思考や視点をゆるめてくれて、微睡むように、合いすぎたピントを溶かしてくれるのが心地良い。なによりも純粋に彼らの音楽がとてもすきで、心が癒される。
映画。
2年前に観た映画「夜明けのすべて」がとても好きだった。
元々フライヤーの写真の美しさに惹かれ、全編フィルムで撮影されたと知り、言葉をとても丁寧に話され、お声がとても魅力的なおふたりが主演で、パニック障害やPMSが物語の中心にあって…と観る理由しかなくて、公開してすぐに劇場に足を運んだ。冬はすごく調子が悪いのにそれでも観たい、行きたい、と突き動かされる心があった。そのときに書いた感想。
映画「夜明けのすべて」
エンドロールの映像、在り方が今まで観た作品の中で一番好きだった。
ポスター写真を見た時から、絶対に観たい、きっと私が好きな世界観だと思って、ずっとずっと楽しみにしていた作品。主演のおふたりもとても好きで。
いざ映画が始まると、大きく期待して高まっていた何かが、平熱に戻ってゆくような、静かに静かに、現実を、日々を生きる感覚に落ち着いていくようだった。
観終わった後、なんとも言えない心になった。なんだろう…言葉は出てこないけど、言葉にできない確かな感覚は大きく胸の中にあって。本当に大切なことは、言葉にできないんだなと思った。
痛みも苦しみも自分だけのものだから、そこに対する救いはやっぱりない。でも、その絶望にのみ込まれないように、それだけが全てではないと、そうじゃない時間もあると、そよ風を感じさせてくれる人や場所、時間が増えれば増えるほど、辛さは何も変わらなくても、日々に対する心持ちは少しずつ少しずつ柔らかになれると…。(自分の病気と7年付き合って真っ暗なトンネルも数年経てそう思う)
観て良かった。そして、できれば時間を置いてもう一度観たい。今度は違う劇場で。
レトロな小さな劇場で、お年を召した方が多かったのもなんだか嬉しくて。時折り聞こえてくる笑い声に癒されながら、じっくり鑑賞。上映後、人が少なくなった劇場で「良い映画やったなあ…」と呟かれた老紳士の声の温もりを忘れない。